走向超克的空间——围绕芥川龙之介的《杜子春》与《魔术》（超克の空間へーー芥川龍之介の『杜子春』と『魔術』をめぐって）文献综述

文献综述

恩田逸夫は「芥川龍之介の年少文学」において、芥川の童話に関して総合的に論じている。

まず、芥川の「童話制作の基底」として、(a)超現実的要素と(b)児童観の二種類に分けている。

(a)に関しては、芥川文学の「異国情緒や非現実的な異常性を愛好する点」に新浪漫主義につながるものを認め、その童話も同傾向を示し、「美しいが、しかし児童自身の現実に即した力強さには欠ける」とする。

(b)に関しては、芥川童話に「年少者に対する温い思いやり」があり、あくまでも「年少者を与えるものとして書かれたことを念頭において評価すべき」だと論じている。

そして、作品に関しては、「用語も平易」で「健康な強化性」を認め、「作品を一貫するのは人間性の肯定」であり、「人間性の真実への積極的な希求」があると述べている。

武藤清吾『芥川龍之介の童話』では、芥川の童話には共通して「神秘的な内容」が含まれており、芥川が何より大切にしたのは、「不可解な現実をうまく了解できないでいる自己とは何かという問い」であり、「その問いが読者に違和感なく理解されるために」、一見教訓的なわかりやすいテーマを取り入れたり、彼が幼少期から関心を持ち続けた数々の怪異や神秘、創作当時に社会的に流行していた神秘現象をとり入れたりし、そして、その根底には、「娑婆苦の為に呻吟」する人々への「共感」があったのだと指摘されている。

馮裕智「人間性に対する試練：芥川龍之介の「蜘蛛の糸」「魔術」と「杜子春」論」において、その三作の共通点として、「人間性に対する試練」というモチーフを指摘し、その上、試練の時間や場合、試練の送り手と受け手、および試練の手段と目的という三つの面から分析を進んでいき、芥川童話作品の主題について考察を行った。

応典は芥川児童文学における「試練」を主題とした作品を主な研究対象として、「試練」というキーワードをめぐり、人物像やストーリーの展開を分析することを通し、作品のモチーフを考察し、さらに、「試練」の問題から芥川児童文学のモチーフを探求した。

作品のテーマを分析することにより、作品における「試練」は人間の利己心への「試練」であり、人間性の「試練」というモチーフが一貫しているということがわかる。